複線結線図は、単線結線図に比べて情報量が多く複雑になるが、詳細な仕様まで複線結線図で確認できますので非常に有用です。
トラブルの解析や継電器試験の計画等の時間短縮に貢献します。
端子記号、線番等細かく記されているという特徴があります。
しかしながら回路図を読み取る方もある程度の知識が必要になります。
皆さんも、勉強会の課題で回路図を起こしていますので、多少でも助けになるように、解説したいと思います。
前回お配りした、盤図一式の中の複線結線図を例に解説していきます。
持ってられない方は、上のダウンロードアイコンから入手してください。
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上流側から解説していきます。
一番上のCHは、ケーブルヘッド(端末処理部分)です。
端末処理、終端処理等いわれますが、終端部(ケーブルの切断部)で、遮へい層を適切に処理をしなかった場合、終端部の電界の乱れで、遮へい層の端に電気力線が集中してしまい絶縁体にストレス(劣化の進行が速くなる)をかけてしまいます。
その結果として絶縁破壊事故が発生します。
処理方法は、設置する環境の区分(一般地区、汚損地区[塩害等])で違ってきます。(主にケーブル用テープ巻き型、ストレスコーン型)
ケーブルヘッドから出ている接地(EA)は、遮へい層アースを施したもので、シールドアース、シースアース等と言われる。
高圧ケーブルの場合は、保安上の理由で地絡検出を確実にするために施される。
シールドアースはQB側に片端接地が基本となるが、ケーブルが長いほど誘起電圧が高くなるので、ケーブルのこう長が長い場合は両端接地が採用される場合もある。
両端接地は継電器の誤動作が片端接地より起きやすい等のデメリットもある。
その下流に断路器があり、器具アース(A種)が施されていることがわかります。
その更に下流が、VT(計器用変圧器)高圧側に器具アース(A種)2次側中性点に接地(D種)が施されている。
VTの下流側はVTT(VTテスト端子)更に下流にR相とT相にヒューズがありUVR(27R)、電力マルチメーター、VCB・LBS制御電源に分岐している。
UVRはP1、P2につながっており、電圧を監視していることがわかる。
図番 8-21を見るとUVRのc1,b1はCTDの出力側からLBSのトリップコイル(LBSの5番、6番)に電気を流す回路のスイッチになっていることがわかります。
c1 , b1の意味はこの機種のUVRは2セットのA接点とB接点機能がある(C接点のこと)スイッチを持っていて、そのうちの1セットのb接点を利用しているということになる。b1はブレーク接点1、c1はコモン1と読みかえられる。
※CTDとは停電状態であってもトリップコイルに電気を流せるようにコンデンサーに電気を充電しておく器具。
UVRがb接点の理由については、UVRの動作については停電で動作というパターンが多いと思われます。要するに、トリップ先がLBSとした場合停電した場合でも、LBSが開放するまでは接点を保持し続ける必要がある。ということです。電圧が正常な時はリレーがONで接点が開になっており電圧低下でリレーがOFFで閉となります。電気が停電で無くなっても閉の接点を保持できるということになります。
要するに、a接点は停電時は開で、b接点は停電時は閉である特性を利用しているわけです。
UVRから出ている2セット目のc2,b2は図番8-21を見ると端子台につながっています。これは何のためかというと、試験の時に信号を拾いやすいように試験用に施しているわけです。
具体的に言えば、端子台のUV1とUV2に試験機のコードつなげばリレーの入り切りがわかるということです。
8-20のシーケンス図を見てLBSにはR付と書いてるのでエネセーバーですが、これの1番、2番端子はVT(RV21、RV32)から電気をもらってます。
※エネセーバーとは商標であって、抵抗付きのLBSが全部エネセーバーということではありません。この盤図にあるLBSはエネセーバーという商品です。
これは図面にある引き回しスイッチでLBSを自動開閉できるのですが自動投入時の電源と、停電保障コンデンサ(CTDとは別です。)用の電源になってます。
DS(断路器)からVT1次入力を挟んで、VCBがあります。
VCBには器具アース(A種接地)が施されていることがわかります。
このVCBは電圧引き外し方式(STC)電圧方式のトリップコイルが付いている機種です。OCRもSTCに対応した機種を使用する必要があります。
VCB2次側にCTがあります。
CTの2次側についてはCT→CTT→OCR(51R)→電力マルチメーターとなります。
器具アース(EA)とCT2次はR相のlとT相のlが短絡されて接地(ED)されています。
OCR(51R)はR相k側がC1Rに入りC2Rから出て電力マルチメーター(+C1)にT相k側がC1Tに入りC2Tから出て電力マルチメーター(+C3)に入ってC1 , C3から出てlに戻っています。
図番8-21を見ると、OCRのT1 , T2(トリップ用接点)はCTD出力側からVCBの5番 , 6番端子(トリップコイル)のスイッチになっていることがわかります。
OCRのトリップ用接点T1 , T2(A接点)がメイクした場合にCTD出力がVCBのトリップコイルに印加されVCBが開放されるようになっていることが、回路図を見て把握できます。
CTDの入力はRV12 , RV21でVTTにつながってAC110Vを受けています。
CTDの出力側はコンデンサなのでDC出力になってます。
OCRのa1 , a2(警報回路用A接点)は端子台のOC1 , OC2に接続されています。
母線でCTの下流にZPDがあります。
ZPDは各相にコンデンサがあってスター結線になっており中性点(V₀点)から分圧用コンデンサを介して接地(EA)されています。
図番8-22に地絡過電圧継電器(64V)(OVGR)のシーケンス図があります。
地絡が発生しましたら、V₀に電圧が発生して分圧用のコンデンサに分圧された電圧が更にZPDのトランス部で降圧されてY1 , Y2から継電器の15番 , 16番に入って地絡が検知され、11番 , 12番がONになることで、外部リレー64X-SもONになりOV1 , OV2が閉路することで、パワコンに地絡過電圧が発生したことを知らせてるようです。
また、地絡過電圧継電器には制御電源としてDC24の入力が必要で、電灯のMCCB(OVGR電源)からAC110Vをコンバータを介して01番 , 03番に入力されています。
この複線結線図8-31から読み取れるのは以上のような情報です。
単線結線図に比べてより詳細な情報が得られたともいます。逆に言えば複線結線図を起こす場合は、より多くの情報を盛り込む必要があるということです。
それと、複線図と実物がちゃんと照合しているか、確認することも必要だと思います。
そこに食い違いがあると、災害に発展する場合もあります。皆さんの安全と、一緒に作業する仲間の安全も守れるように、訓練で必要な知識を身に着けてください。


